円インデックス2年半ぶり高値目前!!米中対立激化で急騰

<連休明けに円急伸>

ドル/円は前週末10日の海外市場で、一時109.47円まで反落。9日につけた3カ月ぶり安値に再び並んだが、週明け13日の市場では下げ渋るなど底堅さが目立っている。 だが、対ユーロや対新興国通貨などクロス円では、円高が広範に進んでいる。円は前週後半には対ユーロ で122円台、対豪ドル で76円台、対NZドル で71円台と、いずれも4カ月ぶり高値を更新した。

この様子は、貿易額等を加味した円インデックス(名目実効為替レート) で見ると、よりわかりやすい。日銀が日々公表しているデータをみると、連休明け後から突然急伸し、10日に104.56まで上昇。1月7日に付けた年初来最高水準104.72に肉薄した。この水準をさらに上抜けると、トランプ米大統領の登場に市場が沸いた16年11月以来、約2年半ぶりの円高水準に達する。当時は12年終盤から始まった「アベノミクス相場」が終えんを迎えたとの見方が浮上、年央からドルが100円を割り込むなど円高が急速に進んだ。リスクオフムードの広がりで、ドルと円が同様に買われており、ドル/円でみれば円高は限定的だが、市場参加者の警戒感が非常に強くなっているのがクロス円の動きをみると分かる。

<トランプ砲で状況一変>

今回の円高の主因は、米中貿易摩擦の激化。今年最大のリスクの1つとして、大半の参加者が警戒してきた。だが、閣僚級協議が行われたり、トランプ大統領が交渉の進展をうかがわせるような発言をしていたことなどから、連休前には「米中問題はいったん下火になったと決め込んだ参加者が少なくなかったと思われる。連休前に円高進行を警戒する声はあった。

しかし、連休中の薄商いの下、投機筋が主導して円相場を急騰させる「フラッシュ・クラッシュ」の発生であったり、ドル/円の予想変動率(インプライド・ボラティリティー)が過去最低水準にほぼ到達した反動を予想するものなど、やや漠然とした内容だった。結局、事前のFX業者の呼びかけや、個人投資家の売買手控えもあって、フラッシュ・クラッシュは発生しなかった。米株が堅調なこともあり、当面は低ボラティリティー環境のリスクオンムードの下、円はじり安が進むのではないかとの見方が広がり始めた矢先だった。

トランプ米大統領は5日、ツィートで2000億ドル相当の中国製品に対する関税を10日から現在の10%から25%に引き上げると表明。市場参加者の楽観に冷や水を浴びせた。週明け6日、前週末終盤の水準から気配値を切り下げて取引が始まったドルは、国内勢が復帰した7日以降も、下げ止まらず続落。国内勢が金利収入を求めて海外投資を活発化、ドル/円を押し上げるとの期待は大きく後退を余儀なくされた。「大手投資家を含めて、(クロス円などの)買いが一斉に引いてしまった。どこまで円高が進むかわからなくなってしまったので、いったん様子を見たいということのようだ」(トレーダー)とされ、円高が幅広い通貨に対し進行している。

<1ドル105円の見方も>

想定外の円高進行で参加者が動揺する姿をよく示しているのが、通貨オプション市場だ。ドル/円のインプライド・ボラティリティー(予想変動率)は1カ月物 で、連休前の4月19日に過去最低水準に迫る4.25%まで低下していたものの、連休明け後は窓を開けて上放れ。5月9日には今年1月以来となる7%台まで一気に上昇した。

プットとコールの格差を計るリスクリバーサル も、今月に入り大きな動きをみせ、フラッシュ・クラッシュが発生した1月3日以来の水準へ到達した。一段のドル安/円高進行に、強い警戒感が広がっている様がうかがえる。

日本企業による海外企業買収に伴った円売り・外国通貨買い需要や、国内機関投資家の海外投資需要など、需給面からの円安圧力は根強いとみられている。こうした資金フローは継続するとしても、米中貿易摩擦の想定外の激化により、市場参加者は警戒感を強めており、短期的なマネーフローをいったん「逆回転」させているようだ。

トランプ大統領の強硬姿勢は、今後の日米通商交渉の難航をも予想され、市場心理は急速に悪化していることから、ドルは105円台を目指して下値を模索する展開になると予測している。